04-2937-7797循環器科
近年、動物を取り巻く環境が変化・改善され、動物たちの寿命は飛躍的に延びております。
そのため、腫瘍疾患（がん）や腎臓病、心臓病が増加し、ワンちゃん、ネコちゃんの「三大死因」と呼ばれるようになりました。
心臓病は、末期になるまで全く症状を示さないことがほとんどです。言い換えると、症状が出たときは末期の可能性が高いのです。
また、悪化してしまうと死に至ることもあり、心臓自体は一度悪くなってしまうと元には戻らないことから、定期検査を行い、早期に発見をして治療をはじめることが最も重要です。
特に小型犬は心臓病になりやすい傾向があります。
（※キャバリア、ヨーキー、マルチーズ、シーズー、チワワさんなど）
気付いてあげて下さい
～心臓病サイン～
- 呼吸が苦しそう
- 興奮するとエズク様な咳をする
- 運動をしたがらない
- 長い散歩が出来ない
- 舌が紫色になることがある
- 失神することがある
- ふらつくことがある
- お腹が膨らんできた
- 安静にしていても呼吸数が多い
もしもこのような症状がみられたら早期に心臓検査のご相談ください
～心臓病を診断するには～
○身体検査
心拍数の測定、体温測定を行い、視診、触診で異常がないか、全身を隅々まで確認します。
そして、心臓、肺の聴診を行います。この時点で、どのような病気が疑われるか、大まかに予測することができます。
○レントゲン検査
心臓の大きさや形、血管の太さ、肺の透過性や気管支などの呼吸器の状態をチェックします。心臓病の重症度の判定にも役立ちます。
肺の血管の太さや透過性は、この検査でのみ診断が可能です。
○超音波（エコー）検査
心臓内部の大きさや、構造の異常などを把握します。
当院ではカラードップラーエコーを用いることにより、各血管の血流速度や、心臓内の逆流の有無を把握することが可能です。
この検査により、心臓病の種類、重症度などを把握することができます。
○心電図検査
３０秒～数分間にわたるモニターを行います。不整脈の診断や、心臓のどの部分に負担がかかっているかを判断するための重要な検査です。
○血液検査、尿検査など
全身状態を把握するため、また、心臓病以外の病気を知る目的で、血液検査、尿検査を行います。心臓病の治療を行うためにも、腎機能、肝機能の状態を把握し、薬剤を選択します。
○総合診断
これら全ての検査を複合的に確認することで、病名、重症度、進行状況、全身状態を診断します。そして、飼い主様に充分なインフォームドコンセントをおこない、それぞれのワンちゃん、ネコちゃんの状態に合わせたより良い治療計画をたて、治療を行っていきます。
～心臓病治療とは～
○内科的治療
心臓病治療の大部分を占めます。お薬を使用することにより、症状を和らげ、病気の進行を遅くらせ、より快適に長生きさせてあげることを目的としています。
血圧を下げる薬や、利尿剤、強心剤、気管支拡張薬などを、病気の種類や状態に合わせて選択していきます。
○外科的治療
開胸術、大血管手術、カテーテルなどを用いて血管内で治療を行うインターベンションやペースメーカーなどの治療があります。
先天性心疾患の場合や、後天性心疾患の僧房弁閉鎖不全症などで適応となることがあります。
高度な設備を持つ施設でのみ可能な手術も多いため，適応であった場合，大学病院などの専門施設をご紹介致します。
○心臓病の子が気を付けること
運動の制限（激しい運動や、興奮させるような行動は抑える）
肥満にさせない
温度や湿度の急激な変化をさける
適切な食事管理（塩分の制限、タウリン、カルニチンなどの必要性を考慮した療法食）
～心臓病の種類～
○僧帽弁閉鎖不全症
全心臓病疾患の７５％を占め、ワンちゃんでは一番多い心臓病です。年齢とともに弁が変性することにより、血液の逆流が生じ、全身に送る血液量が少なくなってしまいます。
症状として、疲れやすくなる、咳がでるなどがあります。主に小型犬（キャバリア、マルチーズ、シーズー、ヨークシャ・テリア、チワワ、ミニチュアダックスフントさん）に多い病気です。
早期に内科療法をすることにより、進行を遅らせることが可能です。また、外科療法も対象となることがあります。
○肥大性心筋症
ネコちゃんで一番多い心臓の病気です。ほとんどが原因不明で、心臓の筋肉が肥大（厚くなる）する病気です。
メインクーンなどでは家族性があるとされています。
運動負耐、呼吸困難、血栓が詰まることによる後駆麻痺などが症状として認められることがありますが、無症状のことが多く、早期発見には定期的な検査が必要となります。
内科治療で症状の緩和と進行を遅らせることが重要な病気です。
